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ショク(食&職)を極める!

毎月1回、今を生きる食のプロフェッショナルにスポットをあてインタビュー。
女性フーズプロデューサーの視点から、様々な魅力を引き出します。


食から広がる豊かな人生を伝えたい

【 2006/12/07 】 
山澤健治
「アテス」編集長

<プロフィール>
山澤健治 (やまざわ・けんじ)
1962年生まれ。東京出身。米国ノースイーストミズーリ州立大学大学院修了。
フリーライター/エディターを経て、2001年から『Pen』編集部に参加。
イタリア料理からプロダクトデザインまで、幅広く特集を手がける。
2005年4月より『pen_ates』副編集長に、同年10月に編集長に就任。
2006年11月6日、編集長として『_ates』を月刊創刊させる。
http://ates-web.jp/



人生にも仕事にも、必要なのは基礎体力=人間力

― 「_ates(アテス)」創刊おめでとうございます。
山澤編集長 ありがとうございます。
― 今回は、食から広がるライフスタイルマガジン「_ates(アテス)」の山澤編集長をご紹介します。以前からお会いしたいと思っていたので、とても光栄です。今までの「ペン・アテス」から名前も一新、ファッションや車などの広告なども充実していて、素晴らしいスタートですね。
山澤編集長 ここまでのプロセスは大変でした。まったく新しいジャンルの雑誌ですから。「アテス」はあくまでも食の専門誌ではありません、「食」から派生する様々なライフスタイルや文化を紹介して、読者の人生を豊かにしていけたら素敵だと思っています。コンセプトタイトルに「NO FOOD, NO LIFE」とあるように、人は食べないと生きていけない訳で、フード(食)とライフ(人生)が重なるシーンは限りなくあります。そこには様々なドラマがあり、いろんな食のスタイルがある。広い意味で、生きることに貪欲な人たちは食べることにも当然拘りがあるでしょうし、そうした食べること、生きることに貪欲な人達へ贈る雑誌なんです。ただ「おいしい」ものだけではなくて、何かの演出や、一工夫でもっともっと美味しく感じることができることを紹介していきたいと思っています。もはや美味しいのは当たり前のことですからね。そうした「アテス」のコンセプトに共感してくださったファッションブランドや企業が協賛して下さってできた創刊号です。
― まさに、私も仕事を通して、いつも念頭においているのは、「食」だけではなく、その環境をとりまくいろいろな文化や空気感を大切にしなくては、と思っています。ですから山澤さんがおっしゃる「アテス」のコンセプトに、とても共感します。以前、「アリガット」という雑誌の仕事をしていましたが、広告には随分苦労し、結局5年後に休刊。創刊号の「アテス」を見て羨ましいなぁ、と正直思いました。山澤さんは、以前は「ペン」の編集をされていたそうなので、やはりデザインや文化といった観点から、見事に食のあらゆるシーンをスタイリッシュに表現されているのかな?と感じるのですが。
山澤編集長 ありがとうございます。でも、それだけではなくて私自身、ずっとフリーでしたし、もともとは音楽ライターだったという経緯もあり、雑誌に関しては「食」に限らずありとあらゆる企画をやってきました。ただ、やはり「ペン」での経験が大きいと思います。もともと「アテス」は「ペン」の別冊、「ペン・アテス」として出版されたので、当然「ペン」のイメージを大切にしなくてはならなかったですしね。
― やはり「ペン」という名前がつくことで大変だったこともありますか。
山澤編集長 「ペン」は反響がストレートに出る雑誌です。中でも食を扱った号は、特に反響がダイレクトに出ていたので、責任はありました。ただ、雑誌自体、紹介したお店や読者に影響力がとても大きいものだと思うんです。だから、何が起きても、「最善を尽くした」と言えるくらいでないと、と思います。
― 音楽ライターなどフリーランスを経て編集長とは、大きな転身ですね。
山澤編集長 特に「編集長になりたい」なんて思ったことはなくて、私はいつも目の前にあることをやってきただけなんです。人生に計画をたてて進むなんてつまらない。私はいつも自由でいたいと思っています。自由に流さるのも自分の意思、会社員になって編集長になったのも結果的には、自分の意思です。縛られることが本当に嫌で、外側から雑誌を変えることにやり甲斐を感じていた時代もありましたが、今は、編集長になって、雑誌を中側から変える方法もあるのだと、やり甲斐を感じています。
― 編集長となると、いろいろな意味での責任感や勇気ある選択も迫られますよね?
山澤編集長 もちろん勇気は必要ですが、そもそも生きること自体が勇気でしょ。そこで止まっているのではなくて、あたって砕けろ!何も見えない真っ暗な中でも目を見開いていて、いつでもダッシュできる自分でありたいと思っています。
― 読者の中には、食のライターや編集者になりたい、という方もいます。編集者に必要な資質とは何でしょう?
山澤編集長 フードライターということならば、もちろんその専門知識は必要ですよね。でも「アテス」の場合は、専門誌とは異なり、「食プラスα」を持っていないとダメです。食の世界に精通している人はいくらでもいる訳ですから。一言でいうと、基礎体力。基礎体力さえあればテクニックはあとでついてきます。
― 基礎体力?経験ということですか?
山澤編集長 私は「人間力」という言葉をよく使うのですが、どんな仕事にも通じることだと思います。基礎体力があれば病気にならずにすむ、病気になってものりこえる力があるわけです。フリー時代には、様々な企画をやってきました。男性誌「ゲイナー」では、ファッション雑誌なのに、インテリアやケーキ特集もやれば、レースクイーン特集なんかも企画しました。もちろん純粋な編集頁も沢山やりましたし、コラムを書いたり、広告タイアップもやったり…。でも、誰かに編集やライティングを教えてもらったことはありませんでした。常に私なりのやり方を模索し、自分のものにしてきました。「一芸に秀でる究極のスペシャリストではなく、究極なジェネラリストでいたい」・・・・・・私はまさにそう思います。自分の持っている力を信じて生きていける、これが基礎体力(=人間力)だと思うのです。
― なるほど、本当にどんな仕事にも人間力は必要ですね。
山澤編集長 人間力ってすごく広い意味なんですけど、編集の仕事においては、取材先に行ってちゃんと挨拶ができたり、話ができる。そして相手の話を聞きだす力があるというのも、実は人間力になんです。当たり前の様ですが、実はその「当たり前」ができない人が多いでしょう。取材で相手の人柄を引き出す質問ができる、というのはとても大きなことなんです。そして、自分の仕事をとおして「誠意」が見せられる人。ライターは文章で語り、カメラマンは写真で語る。編集者は雑誌で語る。雑誌で語れるだけの表現方法を持っていないとダメだと思います。そういう意味では、いろいろな人をディレクションして、企画を具現化する訳ですから、コミュニケーション能力が問われますね。そう考えると無口な編集者なんてあり得ないでしょう?
― そうですよね。そういう意味でもいろいろな分野の方と会い、お話をされている山澤さん、2007年はどのような年になるとお考えですか?
山澤編集長 食とファッションがつながってくるでしょうね。良いレストランがあるから着飾っていく。そうやって自分を表現する場所として、レストランがある。食とファッションのとても良い関係だと思います。シャネルが「ベージュ東京」を、フェラガモが「イルボッロ東京」をオープンしたように、食の世界にファッションブランドがもっと参入してくると思います。そういう意味では食とファッションをつなぐ「アテス」が強く動き出せる1年になって行くと思っています。
― これからどんどん広がる「アテス」の世界が楽しみですね。


インタビュアー
村上由(むらかみ・ゆう)
Office K2M 代表
イタリアでのレストラン経営がきっかけで、飲食業界の仕事へシフト。帰国後、イタリア語通訳、飲食店経営企業のPR業務を経て、雑誌企画編集の仕事に。2004年独立。PRコンサルタント、フードライター、パーティーや企業のフードイベントの企画など形にとらわれず、あらゆる角度から「食」の新しいスタイルをプロデュース。
http://www.officek2m.com/
http://ameblo.jp/officek2m/



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