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ショク(食&職)を極める!

毎月1回、今を生きる食のプロフェッショナルにスポットをあてインタビュー。
女性フーズプロデューサーの視点から、様々な魅力を引き出します。


美食研究家という仕事 美食研究家 来栖けい

【 2006/09/11 】 
美食研究家
来栖けい さん

<プロフィール>
来栖けい(くるす・けい)
1979年9月26日埼玉県生まれ。幼い頃から食べることへの探究心が強く、美食を極める人生を走り続けている。パン、和菓子、ケーキから高級レストランまで、時間の許す限り「味わう」ことに全神経を注ぐ。類まれな舌と胃袋を持ち、鋭い感性で書かれたレストラン評や美食道が話題を呼ぶ。著書に、「美食の王様 究極の167店 珠玉の180皿」など。雑誌、ラジオ、テレビで活躍中。
http://www.k-kurusu.com/



3歳のフレンチデビューから、食への探究心は人並み以上

― 最近では、「美食の王様」のレストラン編に続き、パン編とスイーツ編が同時出版され、あれよれよという間にテレビや雑誌に随分忙しそうですね。まさかスイーツやパンまでこんなに極めているとは、びっくりしました。
来栖 はじめにレストラン編が出版されたので、レストランの推薦とかランキングの仕事が圧倒的に多かったんですが、本当はとってもスイーツ好きなんです。料理、菓子、パンとどれか絶対ひとつしか選ばなくちゃなんないとしたら、迷わずお菓子を選びます。
―はじめて日経新聞で来栖さんのことを読んだ時は、衝撃的でしたね。「3歳のフレンチレストランデビューを皮切りに、25歳の若さで6000軒以上のレストランで高級料理を食べつくし、その鋭い視点と感性が料理評論家をしのぐ」と記事で読んで「凄い人が出てきたなぁ」と。その後、『メゾン・ド・梅本』の梅本さんからのご紹介でお会いして、その食べっぷりにまたびっくりしました。
来栖 確かにあの記事は、反響がありましたね。
僕にとっては、単に好きでやってきたことなんですけどね。でも、村上さんと食事をした時はナリサワさんのランチでしょう。コースだったし少ない方ですよ。僕の大食漢ぶりは、大概びっくりされますね。僕にとっては普通なんですけど。一人で行って、フレンチ・レストランで、ア・ラ・カルトから前菜3品、魚料理2品、肉料理3品、デザート4品を最初に頼んじゃいますから。はじめて行く店では、サービスする人に「大丈夫ですか?」とか「絶対無理です」とまで言われてしまう。『アロマフレスカ』って結構ボリューム感があるんですけど、一度メインを6品ほど頼んだことがあって、「絶対無理です」と言われながら、何キロもある肉料理をぺろっと平らげたのです。その後、南麻布の『アロマフレスカ』にお邪魔し、はじめて原田シェフとお話をしたら、なんと覚えてくださっていました。「絶対ありえない量を一人で全部召し上がってしまったので、店の方では、それ以来『絶対無理です』なんて失礼なことは言わないようにしました」と。
― 私は、味覚の研ぎ澄まされ方というのは、幼児体験や家庭環境がとても影響すると思うのです。来栖さんもご家庭の食環境が恵まれていたんだな、と。そしてそれ以上に探究心がおありになったんでしょうね。
来栖 両親がレストランに行くのが大好きだったし、僕も子供の頃から良く連れていってもらっていました。結構大人しくて行儀がよかった子供だったんで、レストランで粗相をするなんてこともなかった。大人といる空間が不思議と退屈しなかったんです。3歳の時に箱根の「富士屋ホテル」のフランス料理が僕のフレンチ・デビュー。さらに家の近所のフレンチレストランで出会ったドーム型の飴細工に大感動。本当に綺麗で夢を抱かせるインパクトがあったんです。5歳の時の誕生日に「あのケーキが食べたい」と思ったのが、自覚を持って何かを食べたいと強く思った最初かもしれません。
― 家では何を食べていたのでしょうか?
来栖 別に他の家庭と同じだと思うけれど、子供の頃から、食べるものへの執着と探究心は半端じゃなかったと思います。美味しいものだと、何でできてるか、どうやって料理されているか、素材が何か・・・。よく母にはしつこいほど質問をしていました。そして子供の頃の記憶として、何だかいつも母の手作りのケーキがあったんです。当たり前の様にケーキが焼ける香りがしていたり、近所に農家があって野菜も豊富だったし、サツマイモとりんごを甘く煮たおやつをよく食べていました。いわゆるジャンクフードみたいなお菓子はあまり食べた記憶がありません。母が与えなかったのでしょうね。
― それが、来栖さんのお菓子好きの原点ですね。来栖さんの本を読んでいると、よくこんな場所のこんなところ、知ってるなぁと、関心することがよくあります。近くに住んでても気づいていなかったり。随分教えてもらいました。
来栖 頭の中は、美味しいもののことしかないんです。気がついたら見つけてる。行ってる軒数も半端じゃないから、その中で好きになるお店っていうのは、限られてるんですけどね。
― でも、あそこまで書いているということは、相当一軒のお店に通っているっていうことでしょう?
来栖 好きになったら、何度でも通います。この間ある雑誌で、どこの店の餡かを当てるという企画があって、編集部が選んだ10店の和菓子店の餡だけを並べて、僕が店名を当てるというのをやったんです。もともと自信はあったけれど、全部当てられましたよ。
― 相当食べてないと当てられないですよね。
来栖 餡子ってそれぞれで味が違うのは当然なんだけれど、日によって微妙に香りの出方や甘さが違うんです。当然といえば当然なんですが、小豆だって多少のばらつきもあれば、甘みのばらつきもある。僕はその味を当てるときに、全体のイメージをまず味にあてはめるんです。店主の性格だったり、店の雰囲気だったり。お饅頭ひとつでも、生まれた背景や文化が違うでしょう。それを浮かべてから砂糖の甘みがざらめ、白糖、和三盆なのか?を想像してみる。そうすると当たります。
― うんうん。私には到底当てられないけれど、おっしゃることは、凄く解ります。食べることの楽しさって、五感をフルに刺激して、イメージを膨らませることですよね。
来栖 科学的に味を分析していたら、僕の場合は当てられない。味わうことによって、いろんなイメージが膨らんだり、自分の感情も溢れでるものだから、楽しいんです。
― どんどん、来栖さんの食への探求がおもしろくなりそうですね。
来栖 どんどんお店もできるし、面白い料理人やパティシェもいるしね。僕がやっていることって、絶対他の人にできないでしょ。自分の感性だけが頼りだし、人と同じことはしたくない。専門家や料理ライターの人よりも食べることは、網羅しているから、絶対負けたくないんです。僕より凄い人が出現したら、ショックですね。全部のジャンルを完全網羅しているというのが自負ですから。


インタビュアー
村上由(むらかみ・ゆう)
Office K2M 代表
イタリアでのレストラン経営がきっかけで、飲食業界の仕事へシフト。帰国後、イタリア語通訳、飲食店経営企業のPR業務を経て、雑誌企画編集の仕事に。2004年独立。PRコンサルタント、フードライター、パーティーや企業のフードイベントの企画など形にとらわれず、あらゆる角度から「食」の新しいスタイルをプロデュース。
http://www.officek2m.com/
http://ameblo.jp/officek2m/



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