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ショク(食&職)を極める!

毎月1回、今を生きる食のプロフェッショナルにスポットをあてインタビュー。
女性フーズプロデューサーの視点から、様々な魅力を引き出します。


趣味や好奇心が人間性を育てる フォトグラファー 世良 武史

【 2006/08/10 】 
フォトグラファー
世良武史 さん

<プロフィール>
世良 武史(せら・たけし)
1951年京都生まれ。1953年家族と共にアメリカ、サンフランシスコ市に移住。カリフォルニア州サンフランシスコ州立大学を卒業。ロスアンゼルス・アートセンター・カレッジオブデザイン(写真科)を卒業後渡日。雑誌多数、建築、料理、人物等多岐に渡って活躍中。



最高の写真をとるために必要なこととは。

― 私は、世良さんの料理写真が大好きです。光の使い方、奥行き。料理が被写体としてだけでなく、何かそこに人間らしい空気感が感じられますね。
世良 私が写真を撮る上で常に心がけているのは、光の形です。特に料理に関しては光を工夫して取り入れることで、存在感や立体感が生きてくるのです。
― 縁あって、何度か仕事をご一緒させていただきましたが、海外でのご経験、趣味のお話がとても面白く、今までのご経験や人としての厚みが、こうして作品にも表れるのだなぁ、と。写真の世界は深いのだな・・・と感動するのです。
世良 それは、写真の世界だけじゃないと思うんですよ。人間性って不思議といろんなところに出ちゃう。
―世良さんのご経歴もユニークですよね。京都生まれのアメリカ人3世。
世良 小学校4年生まで日本で過ごし、父の仕事の都合で渡米。NYとシカゴに2年ずつ、その後ボストン、サンフランシスコと移住しました。建築家を目指して、サンフランシスコ大学に入学し、その後インターン研修で建築会社に入ったのですがその際に、自分が全く建築家に向いていないと、気がつきました。
― 大学まで卒業したのに・・・・。
世良 ええ、まぁ・・・そうなんですが、大きな会社に入ると一人の役目は、ほんの一部でしょう。それに、図面を引いたりする細かい作業や、デスクワークばかりしているのが、向いていないなぁ、と痛感したんです。
― それから名門「ロスアンゼルス・アートセンター・カレッジオブデザイン」に入学された訳ですね。
世良 当時の大学の先生に、建築の勉強が役にたつのは、映画か写真の仕事だというアドバイスをもらい、悩んだ末、写真を勉強し直そうと思ったのです。しかし、ある程度の経験と技術がないと入学できない学校なので、当然一年目は不合格。自分なりに写真を撮りだめして、2年目にやっと入学できました。
― カメラマンに転身して、今こうしてご活躍されていますが、やはり建築の勉強も役立っていますか?
世良 今までの経験は、何だかの形で生かされていると思うのです。ロンドンには、毎年建築写真を撮りに行っているので、直接的にはそうした場面では大いに役立っているし、被写体を立体的に捉える見方は、建築と似ていますね。
― 世良さんと仕事をしていると、ちょっとしたジョークやウィットで現場の雰囲気が和んだり、段取りについても、積極的に意見を言って、まとめてくださる。経験上、時にはとても気難しいカメラマンの方もいらっしゃり、取材陣のチームワークがとりにくい場合もありますが、世良さんの現場では、一瞬険悪になりそうでも、最後には皆で笑ってますよね。「流石だなぁ」といつも感服せずにいられません。
世良 僕にとっては、フツウのことなんです。いろいろな現場をこなしてきましたから、現場判断で臨機応変に対応できる力は自然に身についているかもしれません。なるべく自分を上手くコントロールして皆さんと調和しながら良いものをつくることに集中するのです。
― でも、きっとその「自分を上手くコントロールする」という事が、難しいことだと思うのです。
世良 それは、村上さんもそうでしょうけれど、チームワーク的には基本体育会系ですよ。僕自身はヨットの経験がかなりそうしたことに影響していると思います。
― そうですよね。私もヨットをやっていたのですが、世良さんがヨットを趣味で長くやってらっしゃるということを伺ったときに、その仕事ぶりやチームワークを良くしようという姿勢に合点が行きました。
世良 ヨットが面白いのは、常に、自然が相手だということ。午前中の海の表情が穏やかでも、午後はシケる時もある。下手すれば海に落ると死んでしまうかもしれない。チームの失敗や力不足もお互いに補いながら、ベストの状態で勝負に挑まなくてはならない訳です。
― まさに。自分の役割を最大限に生かすにはどうするか?風や波の表情を読み取って、船を細かく調整して最大限に風を利用していかなくてはいけない。
世良 編集者やクライアント、店の人がいる中で、現場の様子を把握して、チームワークのモチベーションを最大にして、僕は最高の写真を撮ることに専念するわけです。ヨットから学んでいることは、多いですよ。
― 世良さんは、他に趣味でお茶もやってらっしゃるでしょう。お茶の世界が写真の仕事にとって影響することもありますか?
世良 もちろんです。僕はアメリカの生活が長かったので、何か日本の伝統文化を身につけたいと思っていたのです。京都の叔母の紹介で煎茶のお手前を習いはじめて、8年目。しばしの静粛な時間を着物で過ごす。茶室の研ぎ澄まされた空気の中で、精神を統一させることによって、そこにある全ての音や香りが感じられます。精神的に浄化されていきます。 写真そのものにどんな風に影響が出ているかは、僕自身では解らないけれど、撮影現場に行って、作法を知っていてよかったと思うことは、良くあります。例えばお茶室や格式高い和食の料理屋さんに取材行くと、お座敷への上がり方や座り方、どこに座って良いか、畳のどこを踏んだらだめか、当然日本の流儀がある訳です。お店の方に「よく知ってますね」と言われます。そこでちょっとお店の方との会話の糸口が生まれたり。そんな時、お茶をやっていて良かったなと思いますね。
―最近の作品では玉村豊男さん(http://www.villadest.com/)の新しい本『ヴィラデスト カフェブック』が出版されましたね。おめでとうございます。
世良 ありがとうございます。玉村先生とは12年来のお付き合いで、先生のご自宅がある「ヴィラデスト」の本をご自分で好きな様に作りたいというご希望があり、カメラマンとして起用していただきました。
―「ヴィラデスト」の広くて自然なワイナリー、ファームの雰囲気と世良さんの写真のセンスはまさにぴったりですね。1年がかりの撮影と伺いましたが、ご苦労もありましたか?
世良 楽しかったですよ。普通なら、料理をこんな風に撮って欲しいという注文があるじゃないですか、でも玉村先生は何もおっしゃらない。「知り合って12年にもなるのだから、解ってるでしょ。好きな様に撮って」と言われたのが、とても嬉しかったです。
― のびのびした空気感が伝わってきます。
世良 1作目が好評で、今2作目を撮り始めています。もっとそこにいる人の表情を盛り込んだ、温もりのあるものになると思います。
― これからのご活躍が益々楽しみですね。いつか海外のお仕事もご一緒させて頂けたら光栄です。又、どうぞ宜しくお願い致します。
世良 こちらこそ。楽しい仕事をしたいですね。是非今度ヨットも一緒に行きましょう!


インタビュアー
村上由(むらかみ・ゆう)
Office K2M 代表
イタリアでのレストラン経営がきっかけで、飲食業界の仕事へシフト。帰国後、イタリア語通訳、飲食店経営企業のPR業務を経て、雑誌企画編集の仕事に。2004年独立。PRコンサルタント、フードライター、パーティーや企業のフードイベントの企画など形にとらわれず、あらゆる角度から「食」の新しいスタイルをプロデュース。
http://www.officek2m.com/
http://ameblo.jp/officek2m/



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