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ショク(食&職)を極める!

毎月1回、今を生きる食のプロフェッショナルにスポットをあてインタビュー。
女性フーズプロデューサーの視点から、様々な魅力を引き出します。


これからは、中国料理が注目される メゾン・ド・ウメモト上海 梅本恒久 シェフ

【 2006/06/08 】 
メゾン・ド・ウメモト上海
梅本恒久 シェフ

<プロフィール>
梅本恒久(うめもと のぶひさ)
1980年生まれ。町田調理師専門学校を卒業後、京料理「たん熊」を経て、新宿の中国料理の名店にて3年半にわたり修行。2005年1月「メゾン・ド・ウメモト 上海」をオープン。フランスの租界時代の上海料理をテーマに究極の食材を洗練された調理法で提供している。



料理人に求められていることとは?

― 梅本シェフは、25歳にして高級中国料理店のオーナーシェフ。最も日本の健啖家達を虜にしている料理人の1人と言っても過言ではないと思います。今までの経緯や料理人としての哲学など、いろいろお話を伺いたいと思います。そもそも調理師学校を卒業後、有名日本料理店「たん熊」で仕事をされていた梅本さんが何故、中国料理に転進されたのですか?
梅本 これからは、絶対中国料理の時代ですよ。和食やフレンチ、イタリアンは素材や技術はやり尽くしていると思うんです、でも中国料理はまだまだ日本に認知されていない食材や料理が沢山あります。そこに私は可能性を感じたんです。
― 実際、今の飲食業界では、中国料理店の人材募集は多いのですが、イタリアンやフレンチと比べて志望率が極めて少ないです。この現状から見ても中国料理への理解が低いのかな、と思うのですが。
梅本 そのとおりですね。フレンチの業界は料理人のレベルも高いし、圧倒的なシェフの存在感があります。中国料理は一般的に未だ平均的に料理のレベルも低いですし、そこまでの料理人が排出されていないのが現状です。だからこそ可能性が大きい訳です。
―でも、梅本シェフの場合、「たん熊」から新宿の有名中国料理店に転身されたのが20歳。その頃、既にその見極めがあったという訳ですか?
梅本 もちろんです。和食の場合は一人前になるまで通常10年〜20年かかりますよね。私が上京したのが19歳。それから10年後を考えるともう30歳です。上京した時から25歳までには必ず独立しようとターゲットを決めていました。このまま日本料理を続けていてもその夢は実現できないと判断した訳です。
― やはり、そのきっかけが、中国料理店のシェフとの出会いだった訳ですね?
梅本 噂を聞いて、食べてみたいと思って行った店でしたが、料理の印象が強烈でした。食材の活かし方、油の使い方、酢の使い方。全てが匠としか言いようがない。今まで携わった和食の世界では考えられない、全てはじめての味でした。その日にこの店で働きたいと決め、その思いをシェフに受け入れられたのが、縁でした。
― 日本料理から中国料理へ。調理方法など異なった世界での戸惑いはありましたか?
梅本 塩加減に1番苦労しました。日本料理は出汁の文化です。何年か日本料理をやっていると薄い塩味に慣れてしまうので、塩の量に戸惑いました。ところが中国料理は塩加減で味が決まるのです。
― 現場の人間関係で苦労されたことは?
梅本 全く無かったです。かなり異例ですが、厨房にはシェフしかいないので、マンツーマンです。全て見て覚える。はじめから厨房を任されていました。今振り返ると、初めの半年は味付けは全くできていませんし、塩の使い方も油の使い方も理解していなかったので、とんでもない料理を作っていたと思います。でもシェフは何も言わずに僕にやらせてくれていました。
― その信頼関係は凄いですね。シェフは何か梅本さんにセンスを感じていたのでしょうね。
梅本 シェフは偉大だと思います。料理が「センス」に尽きると教わったのもその時です。
― センスに尽きる・・・とはいえ、かなりご自身で努力や勉強もされたのでは?
梅本 私はそもそもあまり勉強などはしない性質なので、自分で経験したこと、シェフから聞いたことを知識として蓄えて中国料理の世界に馴染んでいきました。
― つまり、それも「センス」ということですよね?
梅本 シェフから見聞きしたものを、自分なりの理解で咀嚼して料理に反映させていった結果です。
― 今、実際夢の第一歩を踏み出し、お店のオーナーシェフとしてご活躍されていますが、かつての中国料理店のシェフと梅本さんとの関係を梅本さんとスタッフとの間で築いていますか?
梅本 とても難しいです。今は厨房は私1人でやっています。何度か募集をして来てくれましたが、今のところ適任者が見つかっていません。私が基準とするレベルが高すぎるのかもしれません。自分と同じモチベーションとレベルをスタッフにも求めていますから。
― 実際面接されて、就職希望者に対して、どの辺に「甘さ」を感じますか?
梅本 テレビや雑誌を見て「凄い!」「一緒に仕事をしたい!」と思って応募してくる方が殆どですが、実際に私の料理を食べたことがなくて、応募をしてくる時点採用しようとは思いません。まずは自分のお金で料理を食べて「働きたい」と思うのが料理人に対しての礼儀だと思うのです。
― それでも縁あって何人か採用されたと伺いましたが、彼らが続かなかったのは何故ですか?
梅本 センスでしょう。料理はセンスにつきますから。僕自身の厳しさについてこられなければ必要が無いと自分で判断してしまう。
― ご自身にもそうですが、スタッフの方に対してもとてもストイックですよね?
梅本 でも、実は私が1番見ているところは、「人間性」です。その人自身の素直さ、実直さ、そして料理のセンス。 いろんな人が「大変ですね」と言うけれど、私は私の目標に向かって、それに必要なことをひとつずつこなしているだけです。ですから、私と一緒に仕事をしてくれる人にも、料理人としての実直さ、自分の目標を持っていてもらいたいんです。
― そんな梅本シェフが、今考える将来の夢は?
梅本 40歳になったら日本から離れて好きなことをやって楽しく過したいですね(笑)。でも、今はそんなことは言っていられないですね。究極の素材を最も美味しい料理としてお出しするのが、私の料理です。それなりのお金も頂戴していますので、お客様も非常に高いレベルのものを求めてらっしゃいます。それが励みになりますし、まずは今いるお客様を一日一日、一人一人大切にして、満足してもらうこと。お客様にとっても、私にとっても「究極」を求められる関係であり続け、進化して行きたいと思っています。


インタビュアー
村上由(むらかみ・ゆう)
Office K2M 代表
イタリアでのレストラン経営がきっかけで、飲食業界の仕事へシフト。帰国後、イタリア語通訳、飲食店経営企業のPR業務を経て、雑誌企画編集の仕事に。2004年独立。PRコンサルタント、フードライター、パーティーや企業のフードイベントの企画など形にとらわれず、あらゆる角度から「食」の新しいスタイルをプロデュース。
http://www.officek2m.com/
http://ameblo.jp/officek2m/



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