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ショク(食&職)を極める!

毎月1回、今を生きる食のプロフェッショナルにスポットをあてインタビュー。
女性フーズプロデューサーの視点から、様々な魅力を引き出します。


人と地球に優しい食生活と食空間を提案

【 2008/01/24 】 
柿沼 寛之
(有)ノン ピウ ファーメ /
(株)tokyo food consulting 代表

<プロフィール>
柿沼 寛之(かきぬま ひろゆき)
パステリア「ENZO」、カフェ「unice」、イタリアン・フレンチ「CIVETTA」、ケータリング&デリ「munchies dELI Tokyo」を次々にプロデュース。柿沼イズムの集大成第一弾として、食べることと遊ぶことが好きな東京のクリエイターが集まり、2007年12月20日「bERGAMO」をオープン。



大いなる野望・「世界から飢餓を無くしたい!」

― 先日、恵比寿にオープンしたばかりのレストラン「ベルガモ」ですが、レセプションパーティーは、大盛況でしたね。(http://www.f-s-net.co.jp/ flavo/ contents/ 1_99.html
アットホームな雰囲気で、何しろ音楽が素晴らしかった。パーティーには、もってこいの場所と雰囲気ですね。
柿沼氏 もともとパーティーを意識して店舗を作りました。あの場所を見たとき、ここでレストランをするべきだ!という直感が働いたんです。僕がイメージしている条件が全て揃っていました。スペース、ロケーション、路面の一階、昼間の日差しの向きなど。
― 柿沼さんの作るお店、「チベッタ」(渋谷)、「エンゾ」(西麻布)、「マンチーズ・デリ・トウキョウ」(代官山)にしても、まさに‘COZY’(心地よい)という表現がぴったり。生活に密着していて、普段着な感じが素敵ですね。「お店のコンセプトは何?」ということを聞くのも何だかおかしい気がします。
柿沼氏 レストランの語源は「疲労を回復させる場所」。もともとあまり饒舌に「コンセプト」とかを語りたくない性分で、居心地がいいか悪いかはお客様が決めることだし、「何かわからないけど、何だか良い店」でいいと思うんです。日本人は何でもカテゴライズするのが好きだけれど、あまり決めすぎるとお店の可能性を奪ってしまうのではないかと。
― お店を作る上で、コンセプトを決めると、発信する店側も、ゲストや取材をする雑誌者もそれを基準に店を見て判断し、安心するんですね。変な傾向ですが、ある意味カテゴライズしたりコンセプトを決めていただくと、まとめやすくなるのも事実かしら。
柿沼 できれば、それぞれの方の感覚でお店を判断し、楽しんで欲しいですね。ライブなものはライブでしか伝わらないものもあると思いますし、お客様と店にいる我々が関係を築いて息の長い店を作り上げていきたいのです。
― そもそも、柿沼さんは、なぜ飲食業界に足を踏み入れたのですか?確か柿沼さんは全く異なる分野のご出身と聞きましたが・・・。
柿沼氏  高校・大学では機械工学を専攻。卒業後はアパレル系の会社で設計をしていましたが、誰でもあるように、ある時自分探しの旅をしたくなって、カナダに留学しました。随分長い間、悩んでましたね。自分が幸せだと感じることはなんだろうか?って。そのうち生活費もだんだん少なくなって、本当に食べていくことに困り、「食の仕事に携われば食いっぱぐれることはない!」と飲食店に足を踏み入れました。
その後、魅力に取り付かれ、飲食業へ転身。
今の僕の会社の名前は、「ノン・ピウ・ファーメ」。イタリア語で「もう腹ペコにならない!」っていう意味を込めて。腹ペコ時代の初心を忘れずに、進んでいきたいですね。僕には多くの人たちをお腹一杯にしなきゃいけない使命があるんです(笑)
― 素敵ですね。そんな風に「食べる」ことで幸せにしたいという柿沼さんの様な人にこそ、どんどん心地よいお店を作って欲しい。悩んでカナダに行って、ご自分の進む道にたどり着いた訳ですね!
柿沼氏 いや、まだまだ悩んでいますよ、いつでも。僕は生きている以上、悩んで考え続けるべきだと思っています。
― そうですね。考えれば必ず結果が見えてくるし、考えたり悩んだりすることは、人間のみに与えられた能力かなと。だけど、残念なことに、最近は悩むことをすぐ放棄してしまう人も多いですね。
柿沼氏 悩むことって辛いけど、それも人間の使命。視点を変え、角度を変えることができる力が、その人のキャパシティだと思うんです。考え抜いて作られたものは、結果を見れば解る。世の中は、2割の考えている人で動いていると誰かが言っていたけれど、僕はその2割の人でいたいですね。「考えない」ということを1秒も作らないくらいに。
― 考え悩んだ末に誕生した柿沼さんの現時点での集大成である「ベルガモ」ですが、コラボレーとしている方たちも素晴らしい方たちですね。レジデンスDJの松浦俊夫さ、デザイナーの滝澤雄樹さんともに、柿沼さんイズムに賛同してとても良いハーモニーでお店ができあがったという印象ですが。
柿沼氏 まさにそうした周りの人たちには恵まれていて、いい仕事をしてもらえたと思います。滝澤さんは、僕の大好きなデザイナーさんです。広尾のレストラン「シカダ」を見て、「このデザイナーさんと仕事がしたい!」と思い、探しに探し、知人を通じて知り会うことができました。お会いした時からとても波長があって、楽しい仕事ができる方。滝澤さんが今までに見てきた物の量や経験が豊富で、いろいろな価値観を共有できます。店作りをしていく上で、「どの国のこんな建物の質感」とか「こんな場面のこんな雰囲気」という具体的な例が共感できます。屈託なくいろんな話しをしている中で、いろんな国や時代にお互いのイメージの中でどんどんトリップができる。
― お仕事を一緒にされたのは、「チベッタ」からと伺いましたが、「チベッタ」も心地よいアットホームな雰囲気ですね。
柿沼氏 「チベッタ」は、限られていた予算の中で、本当に丁寧に仕事をしてくれました。不思議なくらい僕の想いが伝わる人で、現実的なコストとの折り合いもしっかりつけてくれる、デザイナーさんです。滝澤さんとの仕事では、「デザインやレイアウトを変更したい」ということがおこらないのも不思議。僕の考え方やレストランそのものを理解してくれているという信頼感があります。アクセントカラーの使い方、バランス感覚が素晴らしい。今回の「ベルガモ」も、大人なピンクがアクセントカラーになっていて、使用感のある床や柱の素材とピンクのバランスがとてもいい。「ベルガモ」は、滝澤さんとでなければ、実現しませんでした。
― 「ベルガモ」の大人な音楽もとても素敵ですね。なかなか音楽と店の雰囲気がうまく融合しているレストランって日本では少ないと思うのです。
柿沼氏 音楽は何の迷いもなく、DJの松浦俊夫さんをレジデンスDJにお願いしました。松浦さんの音楽センスも大好きなんですが、何より彼のパーソナリティーに共感できます。内面に陰りのない人物で、子供の様に無邪気でとてもチャーミングな人ですよ。
空間に合う心地よい音楽つくりに期待しています。当面、月、水、金のディナーには、DJ『チーム松浦!』さん達の生DJでお客様を盛り上げて行ってもらう予定です。
― 今後の目標は?
柿沼氏 まずは、今の既存店をそれぞれきちんと運営していく。良い店であり続けるためには、日々のスタッフ皆の努力が必要、そのためにコミュニケーションをしっかりとることが大事だと考えています。
店の中で些細なスタッフ間の認識のズレは、不思議なほどお客様に伝わってしまうものですから、怖いですよね。
長年気心が分かり合える、波長の合うスタッフを中心に仕事をしていますが、方向性の指針を共有しながら、ハートで働く仕事をしたいし、いつもそうありたいと思っています。店の中でのスタッフのモチベーションの「気」がお客様の「気」とシンクロしていい空気感が生み出せる店でありたいです。  飲食業は、想像以上にハード。店舗が増え、スタッフが増えると想いを共有しきれない現状が生まれたりします。着実に経営していくということが目先の課題。ワールドワイドな視点で言えば、世界で飢餓をなくしたい!(笑)
不毛の地で作物が育つようになるだとか、企業として影響力を蓄えていけたら素敵ですね。
― まさに「ノン・ピウ・ファーメ」の精神ですね。きっと沢山の人たちが柿沼さんのお店でお腹も心も一杯になって幸せになれる。そう信じています。これからも素敵な柿沼さんイズムをお店を通して発信し続けてください。


インタビュアー
村上由(むらかみ・ゆう)
Office K2M 代表
イタリアでのレストラン経営がきっかけで、飲食業界の仕事へシフト。帰国後、イタリア語通訳、飲食店経営企業のPR業務を経て、雑誌企画編集の仕事に。2004年独立。PRコンサルタント、フードライター、パーティーや企業のフードイベントの企画など形にとらわれず、あらゆる角度から「食」の新しいスタイルをプロデュース。
http://www.officek2m.com/
http://ameblo.jp/officek2m/



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