フードカルチャーの次代をウォッチ!する先端ウェブマガジン

フードカルチャーの次代をウォッチ!する先端ウェブマガジン FLAVO

今週のこの人・この店・このグルメ! フードスマイルガールズの流行発信 郷土料理で世界一周
ショク(食&職)を極める! 仲間と歩む、独立の形 のせ弁 転職の作法



ショク(食&職)を極める!

毎月1回、今を生きる食のプロフェッショナルにスポットをあてインタビュー。
女性フーズプロデューサーの視点から、様々な魅力を引き出します。


異業種を経てこその「食文化」発信!

【 2007/10/25 】 
Harry Cheng(ハリー・チェン)
マイド・インディア・エンタープライズ株式会社

<プロフィール>
Harry Cheng(ハリー・チェン)
神戸生まれ、華僑三世として日本で育ち、ロンドン大学学士(LSE)、オックスフォード大学修士にて、社会心理学、社会福祉を専攻。英ヴァージングループ、(株)ダイソンの日本市場進出に携わる。
現在は、日本の食文化を発信する、Maidoindia (マイド・インディア・エンタープライズ株式会社 http://www.maidoindia.com/)をインド・ムンバイにて設立し、日本の食文化交流の担い手としてインドで活躍中。(株)LA DITTA代表取締役((株)ラ・ディッタ http://www.laditta.jp/)、オックスフォード ソサイエティー ムンバイ支部幹事も勤める。



今だからこそ、日本の食文化をインドに伝えたい

― ハリーさんと、はじめてお会いしたのは、私が雑誌「ARIgATT」の仕事をしていたときでしたね。イギリス特集を・・・しかもイギリスのレストランシーンが最高にとんがっていたので、その特集を実現させたくて、エアーやホテルに付随して、イギリス関係の広告が欲しくて奮闘していました。
ハリーさん そうですね。僕がヴァージン・コーラの日本法人を立ち上げたばかりの頃でしたね。もう何年前だろう?8年前くらい?
― 今ではロンドンのレストランシーンが活気的なのは既に周知のとおりですが、あの頃は、「え?ロンドンのレストラン?美味しいの?」というイメージが強かったでしょう。
ハリー氏 そうですね。でも、食文化は面白い。時代の流れでどんどん進化していくでしょう。ロンドンもそうだけれど、今、僕がいるインドだってそうだよ。まだまだ発展途上だけれど、だからこそ面白い。
― 今年ハリーさんとの偶然の再会でインドのお話がでたのは、かなり、驚きでした。「インド?え?ムンバイ?日本の食分化をインドに?」不思議な言葉がどんどん飛び出していて、はじめ「何を言ってるんだろう?この人は」と。だって今まで全く異なる分野で仕事をしていた訳でしょう。前から「食」の仕事がしたいって言っていたけれど、でも、どうした経緯で?
ハリー氏 「食」は人間が生きる上でなくてはならない、生活の基本的なものです。「食」を通して人が集まり、文化が生まれ、家族の文化が国の文化へと発展するわけです。それはとっても自然の流れなのです。学生時代から、よくロンドンやオックスフォードで異業種の人を集めたホームパーティーをしていました。国籍や職業が違っても、「食」を通じて新しい出会いがあったり、新しい考え方を伝え合うことができると感じました。そして、「食」は人々に満足感をもたらし、日常の「ストレス」を解消できる素晴らしいビジネスに繋がると思うのです。
―それは、私も大いに共感です!でも、何故インドを?それもなぜムンバイを選んだのですか?
ハリー氏 まずは中高時代のインド人の同級生がきっかけです。彼は、インドのコングロマリットの資産家の息子で、インドの文化の発展性とその可能性について、よく話しをしていました。実際、彼に言われてインドを訪れてみると、インドが近年、経済的、文化的に急成長をしている中で食文化の発展にも大きな可能性を見出せたからです。インドでは、まだ「文化」を「食」で繋ぐ仕事は誰も手がけていない。そのビジネスをインドでやってみたいと思ったのです。何故ムンバイか?というと、インド経済の中心地であり、そして、何よりインドの様々な文化、特にマスコミ、コマーシャルの世界は、ムンバイから発信されているからです。
―なるほど、そして2007年9月1日に、「日本文化をインドにより近く」というスローガンを基本に、マイドインディア・エンタープライズ株式会社を起業された訳ですね。インドでの起業準備は大変でしたか?これまでにどのような準備をしてきたのですか?
ハリー氏 今年の4月からインドに住居を構え、より円滑に日本から食材などの調達が可能となるように、主にサプライヤー(食品企業)などのパートナー企業とのパイプ作りや、インドでの海と空の流通を整えたり、ロジスティック・システムを整えたりしました。そして、この会社のブランディングの戦略を練るなど準備してきました。
― 未開地での新事業の立ち上げですから、やることは沢山ありそうですね。実際、日本とインドとで活躍されている中で、一番忙しい仕事は?
ハリー氏 現在は食品、飲料、料理機材の輸入、すしコンテスト等のイベント開催、日本人シェフによる飲食店の技術指導と料理教室開催、「月刊食堂」(柴田書店)の連載、インドの媒体での日本についての執筆活動、写真家を含むアーティストマネージメント、日本メディアの海外ロケ(インド、ドバイ、ヨーロッパ)のコーディネーション、顧問としての新規ビジネスのアドバイス提供・・など、本当にたくさんあります。友人からよく「よくこなせるよね!」と言われますが、色々な事を平行に上手くこなす事が今の最大のチャレンジであり、最大の喜びでもあります。
― 「教育は文化と切り離せない」と以前おっしゃっていましたが、多岐に渡る仕事の中で、教育の一環としてハリーさんがやっていることを教えてください。
ハリー氏 教育とは、伝える事と気付くことの二つが重要だと思います。例えば、私たちが手がけるイベントを通じてインドの人たちへ日本食を提供したとき、その人がはじめて日本食を知り、好奇心を持てば、日本食文化を「伝えた」ことになります。それがきっかけで、更なる興味が湧けば、自身で調べ日本食の知識をつけていくでしょう。全く日本食のことを知らなかった人が、日本食について語りだす。そして、こちらから新しい情報や知識を提供し続ければ、知的好奇心から様々な情報に「気付く」。今はインターネットも普及していますし、どんどん自分で新しい情報に気付いていくことが可能です。そこから全く新しい文化を理解し始めるのです。
一方、日本企業をインドへ招待することで、日本人の多くが持つ、ドメスティックな感覚を少しでも世界に向ける事ができます。私たちの事業を通じ色々な人が色々なことを学ぶ事ができるのではないでしょうか。
― そんな環境の中で、ハリーさんご自身も学ぶことは沢山ありますか?
ハリー氏 もちろん!僕自身にとってインドは、全く異質な文化でしたから、その独特の習慣や、考え方など公私共に学ぶことが多く、とてもビジネスと独特の習慣など本当に学ぶことが多く刺激的な毎日です。
― 将来的にはどんな風にビジネスが発展することを望んでいますか?
ハリー氏 望みは道が自然に開いて行く事です。昔、今何をやっているかなんて、想像できませんでした。村上さんも、すべての人もそうじゃないでしょうか。基本的に将来は自分で見えない大きな流れがあると考えています。どのように発展するのは分かりませんが、それが楽しみです。あまり期待せず、良い事が起きる度にすごくhappy!になります。良い事は、待ち望んでいる人々のところへ自然と訪れると思います。
― ハリーさんは中国人で日本生まれ、大学はイギリス、仕事はイギリス、カナダ、タイ、オーストラリア・・・と多国に渡り、そして最近日本国籍を取得されましたよね。色々な土地を経験し、色々な体験をされてきていますが、日本よりも海外で仕事をする魅力って何ですか?
ハリー氏 最初に、海外だけでなく日本にも、たくさんの可能性と魅力が十分あると思います。 しかし、異国の国で外国人であることは、それだけで、文化も環境も異なる訳ですから、難しいことも多くありますが、時には大きなプラスの材料になります。海外で仕事をするには、真似できない何かを成しえるエネルギーが必要です。個性やアイデンティティーをしっかり持ち自分だけの強みを出さないと夢は実現できません。僕の場合は、華僑で日本育ち、今は「帰化後の日本人」。「ハリーって何人?」とよく聞かれます。グローバルな世の中、僕は「皆様と同じ、地球人です!」と答えますが、僕の本当のルーツは「和の心」にあると思います。今までの経験が僕の最大の強みかもしれません。海外が憧れる日本の良さもわかるし、日本人として何を伝えたいか?ということもしっかり解っています。僕にとっては、今は日本食文化です。未知の国で、未だ皆が知らない魅力を紹介していくことは、本当に嬉しいことです。


インタビュアー
村上由(むらかみ・ゆう)
Office K2M 代表
イタリアでのレストラン経営がきっかけで、飲食業界の仕事へシフト。帰国後、イタリア語通訳、飲食店経営企業のPR業務を経て、雑誌企画編集の仕事に。2004年独立。PRコンサルタント、フードライター、パーティーや企業のフードイベントの企画など形にとらわれず、あらゆる角度から「食」の新しいスタイルをプロデュース。
http://www.officek2m.com/
http://ameblo.jp/officek2m/



BACK NUMBER
「コックがニーズに応える会社として」 株式会社クーニーズ・アソシエ 代表取締役社長 青島邦彰さん 【 2008/07/24 】
「社会に影響力のある仕事をしたい だから今は着実に実績を積んでいくことが大切」 有限会社 柴田陽子事務所 代表取締役社長 柴田陽子さん 【 2008/02/28 】
「人と地球に優しい食生活と食空間を提案」 (有)ノン ピウ ファーメ / (株)tokyo food consulting 代表 柿沼寛之 【 2008/01/24 】
「異業種を経てこその『食文化』発信!」 マイド・インディア・エンタープライズ株式会社 Harry Cheng(ハリー・チェン) 【 2007/10/25 】
「『NO』とは言わない性格が得たもの」 リバリスランド オーナー&コーディネーター こうち恵見 【 2007/05/31 】


転職、一歩、前へ。フードスマイルネットワークが提供する
フード業界専門・人材紹介サービス


「FLAVO」の取材をご希望の方はinfo@f-s-net.co.jpまでご連絡ください。
掲載費は無料です。ただし、コラムとの整合性等がございますので、お受けできない場合がございます。ご了承ください。