フードカルチャーの次代をウォッチ!する先端ウェブマガジン

フードカルチャーの次代をウォッチ!する先端ウェブマガジン FLAVO

今週のこの人・この店・このグルメ! フードスマイルガールズの流行発信 郷土料理で世界一周
ショク(食&職)を極める! 仲間と歩む、独立の形 のせ弁 転職の作法



ショク(食&職)を極める!

毎月1回、今を生きる食のプロフェッショナルにスポットをあてインタビュー。
女性フーズプロデューサーの視点から、様々な魅力を引き出します。


「NO」とは言わない性格が得たもの

【 2007/05/31 】 
こうち恵見
「リバリスランド」
オーナー&コーディネーター

<プロフィール>
こうち恵見(こうち・めぐみ)
東京生まれ。短大卒業後、OLを経て、バンタンデザイン研究所ファッションデザイン科に入所。卒業後アパレルメーカーでデザイナー兼プレスとして、カタログ制作、DM制作などに携わる。服のデザインのほかに、グラフィックデザインも学び、フリーとして独立。食の撮影、ディレクションに携わり、1994年にプロ専門の撮影用食器レンタルショップ「リバリスランド」を開店。現在はコーディネートも行いながら、食器の販売やプロ&アマに対し食器文化を発信する「こうち塾」を開講中。
HP:http://www7.ocn.ne.jp/~riverys/



実践で学んだことが次の仕事への自信に繋がる

― こうちさんは、代官山で、撮影用食器レンタルショップの店舗を構えられて14年目。もともとは、全く異なる仕事をされていたと伺っていましたが、ファッションや広告の仕事をされていたとは・・・。
こうちさん 何しろ好奇心が強いですね。仕事のニーズやその時の環境に順応しながら仕事をしていたら、この仕事に辿りついていたので。
― 最近は、テーブルコーディネーターやフードコーディネーターになりたいという方が本当に多いと思うのです。OLをしばらくやって、フードコーディネーターになりたいと専門学校に通う。そんな方とも良くお会いしますが、一言にフードコーディネーターと言っても範囲が非常に大きい訳で、実は本人も何がやりたいか解らないという方が多いですね。
こうちさん そんなの、なかなか解らないですよ。私だって解らなかったけれど、その時代時代で、私に課せられた責任や仕事に応えてきただけなので、「何をやりたいか?」なんて考えている余裕もなかった。もともとはアパレルメーカーでパターンやデザインをやっていたけれど、その後、人が足りなくてプレスの仕事を兼任することになり、DMやカタログも自分で作らなくてはいけなくなったので、印刷、グラフィックデザイン、スタイリング・・・全て独学でつき進んできましたよ。
― 全て独学と言っても、そんな専門的なことを自分で習得するなんて並大抵ではないですよね。教えてくれる先輩か、もともとの素養がないと・・・。
こうちさん 写真のことは、カメラマンにしつこく聞いたり、印刷屋さんのおじさんのところに通って、「カタログの作り方がわからないので、教えてください」とにじり寄り、「まず線を一本引いてみなさい」という基本中の基本から教えてもらいましたよ。だから、『どうしてわたしが?』なんて考えたことがなったもの。私はもともと、必要とされると「NO」と言えない性質だし、時代的にも私達の世代は、皆そうでしたね。
― 確かに昔はフードコーディネーターの資格なんかはなかった訳ですし、どこからどこまでが、仕事かという線引きができない。余ほどの何かの専門職でない限り「目の前のことは何でもやる」というのが当然でしたよね。
こうちさん そうですよ。だから、若い人たちの中で、ある種の・・・・多分学校で教えてもらったことから派生できず、「これ以上は私の仕事じゃない」とか「ここからはできません」とか自ら線を引いているでしょう。直接的ではない仕事でも、いろいろなことを学べるのに、もったいないなと思います。仕事で積んだ経験が、次の自信になったりしますからね。
― 私もそう思います。フツウは、それじゃ仕事にならない。余程のプロやクリエーターとして認めてもらっている人でないと・・・。でも、ファッションの仕事をしていたこうちさんが、なぜ食器のレンタルショップなんですか?
こうちさん アパレルメーカーを退社してから、フリーのコーディネーターになり、はじめは、テレビに出ているタレントやアナウンサーの衣装スタイリストなどをやりました。衣装制作、スタイリング、グラフィックデザイン・・・など、他にも何でも受けていましたね。ある時から、食の撮影コーディネートの仕事が増えてきて。そんな折に、キッチンスタジオの業務も請け負うことを前提に、スタジオの一部を事務所として使わせてもらえる話が舞い込んできて。もともと食器には関心が高かったのですが、スタジオで撮影に必要なものやスタイリングを考える時間が増え、今の仕事に繋がってきましたね。
― でも、食の世界とファッションでは、あまりに仕事の内容も異なるのでは?
こうちさん 基本は同じですよ。というか、むしろファッション業界での経験がほとんど活きていますね。クライアントの要求をいかに具現化するかという作業はどの世界でも同じだと思います。デザインするものの対象が変わるだけですから。
― 何事も実践。好奇心があれば「できる」という訳ですね?
こうちさん 勉強をして正しい知識を広げることも必要ですが、もっともっと仕事の現場や実践で学べることは多いと思います。そして感性を磨くことかな。映画を見たり、旅行に行ったり、本を読んだり。私達の仕事は、クライアントの漠然としたリクエストをゼロから形にすることです。例えば、お客様から「緑のお皿を探しているんだけれど」という電話を頂くと、「緑」といっても食器には、織部焼きの緑から、ヨーロッパの素焼きに色をのせたもの、ビビットな色からくすんだものまで様々です。それを「どんな緑の皿が適しているか?」を聞き出さなくてはならない。どんな料理を盛るのか、表現したい世界観は何か?季節感は?など。そして、いただいた言葉から想像を働かせ、ベストな提案を行う。この作業がとても楽しいですね。
― 適切なアドバイスをするには、様々な世界観をきちんと知らなくてはならないですよね?
こうちさん 私の場合は、アパレル企業に勤めていたときに、デザイナーのみならずバイヤーの目を持って海外に行くことが多かったので、その経験がとても役に立っていると思います。いろいろな国の人に意思を伝えたり、さまざまな文化や生活様式を体験できたので。何か新しいコーディネートを考えるときには、私は「色」と「季節感」が先に浮かびます。黄色とブルーの北欧の色のイメージ、日本の夏の涼しい色・・・とか。
― 「こうち塾」という食器の教室を主催されていますが、こうちさんが持ってらっしゃるそうした世界観やテーブルウェアのいろいろなことが学べるのですか?
こうちさん そうですね。自分なりの世界観をどのようにもったらいいのかということを教えています。一般的なテーブルコーディネートの教室とは異なり、食器の歴史や製造方法、手入れの仕方もレクチャーし、日々食卓を楽しくするコーディネートを提案しています。
― 生徒さんには、どんな方がいらしているのですか?
こうちさん 本当にいろいろな方がいらっしゃいますよ。フードスタイリストの方やこれからレストランをオープンしたいという方、そして主婦やOLの方。プロとして仕事をしていると、「今更聞けない」ということも沢山あります。仕事をすればするほど、「完全」でない自分に気づく訳ですから、もう一度ちゃんと勉強してみようと思う方も多いのでしょうね。ある主婦の方は、高価なきちんとしたヨーロッパのテーブルウェアをフルセット揃えているのですが、季節感やお客様によってのもてなし方を知りたいと。ちょっとした工夫を試みるだけで、コーディネートの幅が広がり、楽しくなります。
― 「こうち塾」にはいったら、バリエーションが増えそうですね。
こうちさん そうですね。ヨーロッパの洋食器、作家のもの、伝統工芸などあらゆる食器がありますから。コーディネートをして良いもの、おかしいものの実例などは、お見せしながらできます。解りやすいと思いますよ。
― ショップの運営、テーブルコーディネートや講師の仕事など、本当にお忙しいと思うのですが、ストレスの発散方法は何ですか?
こうちさん ホント、仕事は断れない性質ですからね。気分転換・・・・飲むことかなぁ。気のおけない友人たちと情報交換をしながら、飲むのは楽しいですね。そして旅行かな。陶器の窯元めぐりとかに足を運び、山を眺めるのが好きですね。結局は仕事と関係していますね(笑)
― 私も最近は仕事とプライベートの境目が最近ないんですよ。好きでやっている仕事なので、ストレスはあまりないんですけど。
こうちさん 私もそうですよ。なかなかはっきり線なんて引けません。でも、さまざまなニーズにこうした形で応える仕事は楽しいですね。やりがいがあります。


インタビュアー
村上由(むらかみ・ゆう)
Office K2M 代表
イタリアでのレストラン経営がきっかけで、飲食業界の仕事へシフト。帰国後、イタリア語通訳、飲食店経営企業のPR業務を経て、雑誌企画編集の仕事に。2004年独立。PRコンサルタント、フードライター、パーティーや企業のフードイベントの企画など形にとらわれず、あらゆる角度から「食」の新しいスタイルをプロデュース。
http://www.officek2m.com/
http://ameblo.jp/officek2m/



BACK NUMBER
「コックがニーズに応える会社として」 株式会社クーニーズ・アソシエ 代表取締役社長 青島邦彰さん 【 2008/07/24 】
「社会に影響力のある仕事をしたい だから今は着実に実績を積んでいくことが大切」 有限会社 柴田陽子事務所 代表取締役社長 柴田陽子さん 【 2008/02/28 】
「人と地球に優しい食生活と食空間を提案」 (有)ノン ピウ ファーメ / (株)tokyo food consulting 代表 柿沼寛之 【 2008/01/24 】
「異業種を経てこその『食文化』発信!」 マイド・インディア・エンタープライズ株式会社 Harry Cheng(ハリー・チェン) 【 2007/10/25 】
「『NO』とは言わない性格が得たもの」 リバリスランド オーナー&コーディネーター こうち恵見 【 2007/05/31 】


転職、一歩、前へ。フードスマイルネットワークが提供する
フード業界専門・人材紹介サービス


「FLAVO」の取材をご希望の方はinfo@f-s-net.co.jpまでご連絡ください。
掲載費は無料です。ただし、コラムとの整合性等がございますので、お受けできない場合がございます。ご了承ください。