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「MONTENVERS(モンタンベール)」(東京・恵比寿)

【 2007/10/25 】 

2007年9月18日、東京・恵比寿にカレー専門店「MONTENVERS(モンタンベール)」が開店した。オーナーシェフの伊藤義信さんは、ホテルのレストランで料理人として30年働いた経験と、独立を決意してから積極的に広げた人脈を生かし、自らの“終着駅(モンタンベール)”を作り上げた。

「MONTENVERS(モンタンベール)」(東京・恵比寿)
同僚の飯浜克己さん

「MONTENVERS(モンタンベール)」(東京・恵比寿)
恵比寿の”バス通り沿い”

「MONTENVERS(モンタンベール)」(東京・恵比寿)
何度でも食べたくなるカレー!手前から、国産牛ステーキカレー、ドライキーマカレー、野菜カレー!

「MONTENVERS(モンタンベール)」(東京・恵比寿)
ジューシーこの上ないチキンロースト。ワインが進みます♪

「MONTENVERS(モンタンベール)」(東京・恵比寿)
自家製ピクルス。新鮮な野菜の旨みが引き出された極上の逸品。

「MONTENVERS(モンタンベール)」(東京・恵比寿)
ランチデザートで大人気!だれもが笑顔になるはずです。

店舗データ
MONTENVER(モンタンベール)
住所:東京都渋谷区恵比寿4-9-5
住所:マンションニュー恵比寿1F
電話:03-3441-7521
営業時間:ランチ11:30〜15:00
営業時間:ディナー17:30〜23:00
定休日:日、月曜日の祭日


伊藤さんは長年、フレンチのシェフとしてホテルで働いたそうですが、なぜカレーの店を開店させたのですか?
伊藤氏 私は昭和26年宮城県生まれで、今年、56歳になります。これまで、ホテルでフレンチの料理人として約30年働いてきましたが、独立してフレンチの店を出すのは、50歳を過ぎた自分の“最後の仕事”にするには少し、重過ぎるなと感じたんです。フレンチという業態は人も必要だし、下準備などに時間もかかりますから。そこで思いついたのが、カレー専門店でした。お客様にクイックにかつ、リーズナブルに提供できるので、これがいいと思ったんですよ。
そもそもカレーは、私自身、とても思い入れのある料理でした。というのも子どもの頃、宮城の片田舎でおふくろが作る田舎料理以外の唯一の料理が、カレーだったんです。ですから私にとってカレーは小さい頃からずっとご馳走でしたし、東京に出てからも誕生日にあえて食べるような特別な料理でした。料理人の仕事を始めてからも、カレーを作ることには何か特別な思いがありました。
さて、いったいどんなカレーなのでしょうか。
伊藤氏 「モンタンベール」でお客様にお出しするカレーは欧風カレーです。チキンカレー(750円)、ビーフカレー(900円)など750円から1200円の数種類のカレーを揃えました。価格は“自分が支払いたい金額”をもとに設定しています。カレーはしっかりとブイヨンをとり、タマネギなどとあわせて4、5時間煮込んで作ります。そうすると野菜の甘みやダシの甘みが利いた「甘みのピリ辛ソース」が出来上がります。作り方がシンプルなだけに、一切ごまかしが利かないカレーです。辛さは抑え目なので、時々はお客様に「辛くできませんか?」と聞かれることがありますが、丁重にお断りしています。スパイスの量も考えて味を決めていますから、そのバランスを変えることはありません。
独立されたきっかけを教えてください。
伊藤氏 長く不動産会社関連のホテルで働き、総料理長という地位にもついていました。しかし、時代の流れなのか、ホテルの飲食部門の売り上げが年々落ちていたある時、会社が飲食事業部門を他社に売却することを決め、私を含めた料理人たちも売却先の会社にそのまま転職するか、飲食とは関係のない部署に移って会社に残るか、といった選択を迫られることになったんです。そこで私は早期退職制度を利用することにしました。辞めたのは54歳でした。残っていてもあと5年、10年で退職になる年齢でしたが、他の部門の仕事をしてまで残っていたいとは思いませんでした。妻も、早期退職には反対しませんでしたが、独立することに関しては賛成してくれませんでした。これからは二人でゆっくり温泉でも巡ろう、今からあえてリスクをとる必要はないんじゃない、と言っていましたね。でも私はあえて独立の道を選びました。人生の最後に、これまで培ってきた料理人のプライドが守れないような日々は送りたくないと思いましたから。小さくてもいい、自分の店を持とう、そう強く決意したんです。
物件は、恵比寿駅からすぐの路面店ですから、立地は一等地ですね。
伊藤氏 物件探しは今年5月の連休明けから始めました。毎日出かけて100件近い物件を見て回りました。カレーはラーメンなどと同じでいつでも気軽に食べられる料理ですから、できることなら25時間でも店を開けていたいと思えるような路面店で、人通りが多い場所がいいと考え、物件を探し始めました。ただ、条件に合うような場所を探していると、どこも坪単価が2万円、3万円になって、1万円台などという物件はまったくありませんでしたね。ただ、家賃が高いからといって坪数を狭くすると、席数が限られ、昼に客が集中するカレー屋という業態に合わなくなってしまう。当初は、自分一人で切り盛りできる小さな店をイメージしたのですが、物件探しをしていくうちに、徐々にイメージが変わっていきました。店を開いたこの物件は18坪、30席の広さですが、まさに理想の物件でした。6月の初めに見学した時は「俺のための物件だ、この物件はカレー屋だ、カレー屋しかありえない」と直感しましたからね。ただ、自分でこれだ、と思ってもダメな場合もあるので、他の物件もいろいろと見ていたのですが、探せば探すほど、もうこの物件しかないと思うようになっていきました。決まったのは8月のお盆の頃です。以前、ビストロだったので、内装はほとんどそのままで、壁を塗り替えたり、天井を張り替えたりした程度で開店させることができました。
独立にあたってどのような準備をされたのでしょうか。
伊藤氏 独立やスキルアップのための専門スクール「スクーリングパッド」で一期生として学びました。このスクールは飲食業やデザイン、映画などの分野で独立したり、スキルアップしたりすることを目的としていて、ここで、講師をされていた際コーポレーションの中島武さんやカゲンの中村悌二さんにお会いすることができました。その出会いから、際コーポレーションが開催していた「中島塾」などにも足を運ぶようになり、いろんな方と知り合い、人脈を広げることができました。実は物件も「スクーリングパッド」で知り合った方からお話をいただいて、借りることができたものなのです。内装やテントなどの設計・施工なども際コーポレーションの関連会社のファースト際さんにご協力いただきました。
店を開いてみて、独立を決意してから今までのことを想い返してみると、まず、自分の目標を達成したいと強く願うこと、それから、いろんな環境に身を投じて人脈を広げることの二つがとても大切だと思いましたね。独立は、自分ひとりでは決してできることではありません。多くの支えてくれる方々の力があってこそなのです。
「モンタンベール」という店名はフランスの登山電車の終着駅の駅名から名付けました。私自身の人生の“終着駅”にしたいと考え、そう付けました。開店前、中島さんに話したところ、「それはいい」と言っていただきましたし、自分でも結構、気に入っているんですよ。
オープンして間もない現在、お客さんの反応はいかがですか。
伊藤氏 ランチはおおよそ70〜80人のお客様にご来店いただいています。150円でドリンクとデザートが付くセットが人気で、客単価は想定していたよりもやや高めで推移しています。最近では、週に2、3回きてくださるお客様がいるなどリピート率が多い特徴があります。もたれないカレーですからリピートしやすいのかもしれません。ディナータイムには20種類程度のビストロ料理をご用意します。料理一品と、アウグスビール、それにしめのカレーというスタイルで楽しんでいただきたいと考えています。意外と、ワインを飲みながらゆっくりと食事を楽しんでいただく方もいらっしゃいますよ。
皆さんに気軽に足を運んでいただければと思います。


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