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「キノエトラ」(中目黒)
代表・山上俊也さん

【 2005/10/27 】 

「いつかは自分の店を持ちたい!」。最終目標に「独立」を掲げる飲食業界人は少なくない。特に仲間と意気投合し、共に独立を目指すケースもしばしば。しかし店を立ち上げ、日々経営していくことはそう容易ではない。いったいどうすれば成功できるのか? 飲食店勤務を経て独立を果たした成功者たちに話を聞き、独立のノウハウ、そして成功の術を探っていく「仲間と歩む、独立のカタチ」。Vol.01は、中目黒で創作料理店「キノエトラ」を経営する山上俊也さんにインタビューした。


佐保氏


「キノエトラ」外観


「キノエトラ」店内



店舗データ
店名:キノエトラ
住所:東京都目黒区青葉台1-30-12
電話:03−3760−2828
営業:18:00〜25:00(LO 24:00)
■ 一つの店に店長が二人

中目黒駅から徒歩5分の山手通り沿いにある「キノエトラ」。2003年12月にオープン以来、順調に客数を増やしている創作料理店だ。オーナーは山上俊也氏と佐保氏の二人。同店は20代の初めに同じホテルで働き、意気投合した二人が共同で出資し、オープンさせた店。通常の店と変わっている点は、二人とも店長であり、二人とも料理長であること。二人で作った有限会社TWも二人がともに代表を務める。共同経営の店だからこそ、すべてを二人で担っているのだ。山上氏はいう。「確かに共同経営は一般的には簡単ではないと言われます。意気投合して一緒にやることになっても、本当にうまが合わないと無理だと思いますね。そういう意味で、私たちはお互いの長所と短所を理解し、補い合っているからこそ、実現できていると思いますよ」

■ 独立を視野にホテルから転職

これまでどのようなプロセスを経て、独立に至ったのか。山上氏にスポットを当てて見ていこう。山上氏は調理専門学校を卒業後、品川にあるホテルに就職。共同経営者の佐保氏に出会ったのもこの頃。5年間、キッチンスタッフとして働くものの、25歳の時、退職を決意。「その頃からいつか自分の店を持ちたいと考えるようになったんです。確かにホテルでの経験は基本的な調理技術を学ぶ意味ではいまでも大変役になったと考えています。しかし自分の店を持つという夢を実現させるには、もっと別の店で働く必要があると判断したのです」(山上氏)。

転職した先は、先輩が働いていた渋谷の大皿料理店「BISTRO DE まいど」。同店は現在、渋谷を中心に4店舗展開する飲食店グループの一号店。山上氏はここで、料理はもちろん、サービスからレジ締めまで、店を運営することのすべてを一通り身に着けることになる。同グループが出店した二号店「澁谷」では副店長となり、厨房からホール、ドリンクまですべての業務を担当した。

■ 料理を極めるべく「渡伊」

山上氏27歳。すでに独立の決心は固まっていた。しかし、次にとった行動は以外にもイタリアへの料理修業だった。「一度、料理をしっかり学びたいと思って」(山上氏)、知り合いのつてを使い、一つ星レストラン「リストランテ ヴィトーネ」(ボローニャ)で働き始めた。次に働いたのも一つ星「リストランテ イルソーレ」(ボローニャ)。ここではシェフパルティータ、いわば部分シェフとしてアンティパストとセコンドを任されるまでになった。三店目も一つ星、「ホテルアルクァーデ」(ヴェローナ)。約2年間、がむしゃらに働いた。「イタリアで得た経験は大きかった。なんでも一人でやらなければ始まりませんでしたからね。でも一人でなんでもやった分、相当自信はつきました」

■ 29歳で「独立」を果たす

日本に戻ってきたのは29歳の時。その頃、佐保氏も転職し、「澁谷」の店長になっていた。「帰ってきたら店を出そう」と約束していた通り、二人はさっそく物件探しを始める。見つけた物件は新築ビルの一階路面店。オーナーが若い人に貸したいという意向もあって、坪2万5000円と相場よりも割安に感じられる金額で物件を見つけることができた。一階二階あわせて23坪。家賃は約60万円。保証金は約12ヶ月分の700万円。知り合いのデザイナーに店舗の設計・施工を依頼、干支からとったキノエトラを店名につけ、2003年12月に店はオープンした。かかった開業資金は約2000万円。オープン時期が年末だったことも幸いし、当初から思っていた以上の売上があった。現在、客層は20代後半から40代、50代のサラリーマンまで幅広い。ただし、渋谷で経験していたような若者はいない。客単価は約4000円。月の売上は平均すると350万円ほど。「6年で投資を回収できればいいなと考えています」と山上氏は語る。

■ 激戦区中目黒で差別化を図る点

いま、料理はきれいでおいしいのは当たり前と語る山上氏。飲食店激戦区、中目黒で差別化を図れる点はサービスだと考えている。「お客様の様子を見て、いま何を求めているか考えて行動する。そうすると、本当にまたきてくれるんです」。スタッフは社員が一人、アルバイトは6名。みな、同じ思いをもって日々の営業にあたっている。「これから店を増やしていくつもりはありません。元々こういう仕事をして生活できればいいと考えていましたからね」(山上氏)。当然、二人で意見が食い違う時もある。しかし、何があっても「話し合いで解決する」(山上氏)。二人で植えた種は着実に中目黒の街に根をはりつつあるようだ。


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