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旬の孟宗がゴロゴロ入った『孟宗汁 (もうそうじる)』
旬の孟宗がゴロゴロ入った孟宗汁。「滝水亭」のものはまろやかでよく味が染みていた。
庄内に初夏を告げる味覚『孟宗汁 (もうそうじる)』
【 2009/06/11 】

山形県庄内地方に初夏の訪れを告げる郷土料理「孟宗汁」の主役は「孟宗」。代表的なタケノコのひとつで、早春に九州から出はじめ、徐々に北へ向い、5月の連休明け頃から、孟宗竹が群生する最北端でもある庄内地方で最後の旬を迎える。鶴岡では、採れたての孟宗が店先に並びはじめると、孟宗汁のにおいがそこら中の家から漂ってくるそうだ。



鶴岡の湯田川温泉周辺で採れた孟宗は特に柔らかく味が良いと評判で、料亭などで珍重されている。
鶴岡の湯田川温泉周辺で採れた孟宗は特に柔らかく味が良いと評判で、料亭などで珍重されている。
ある時期にしか出合えない味にはやっぱりどうにもこうにも惹かれてしまう。私にとって孟宗筍もそのひとつ。孟宗をスーパーで見かけるようになると、今年も春が来たかとついつい手に取り、カゴに入れてしまう。今回はそんな孟宗の名産地、山形県鶴岡市で採れたてホヤホヤの孟宗筍をたっぷりいただいてきた。

タケノコといえば、アク抜きをするのがめんどうで、生から自分で調理して食べる機会はなかなか少ないかもしれない。それもそのはず、タケノコは採ってから時間がたてばたつほどえぐみやアクがキツくなってしまうもの。産地から離れた場所ではどうしてもアク抜きが必要に。
孟宗はどこに行っても売り切ればかりでビックリ! 5軒目でようやく発見したものがこちら。
孟宗はどこに行っても売り切ればかりでビックリ! 5軒目でようやく発見したものがこちら。
だがその逆もしかり、採れたての味わえる鶴岡ではアク抜きせず、普通に下茹でするだけでも十分美味しく食べられるほど!

孟宗汁は孟宗を厚揚げや椎茸といっしょにダシ汁で煮込み、酒粕と味噌で味付けする料理。下茹でした孟宗を2僂曚匹慮さに食べやすく切り、ダシ汁で煮てゆく。煮立ったところで厚揚げや椎茸、好みで豚肉を入れる。全体に火が通ったら酒粕と味噌を加え、さらにじっくり煮込む。時間をかけることで、孟宗をやわらかくし、ツンとたった酒粕の香りをやんわりとした風味に変えてゆく。最低でも30分、できれば1時間くらいは弱火でコトコト煮込んでほしい。そして一度そのまま冷まして煮汁の旨味を染み込ませ、食べるときに温めなおすのがベスト。
孟宗の水煮もたくさん売られている。大きな缶詰には「鶴岡名産」の文字が誇らしげに。
孟宗の水煮もたくさん売られている。大きな缶詰には「鶴岡名産」の文字が誇らしげに。
ちなみに、酒粕と味噌の分量は作る人によって千差万別。「酒粕いっぱいが好き」という人もいれば、「味噌多めがいい」という人も。このレシピが正解、ということはなく、皆それぞれ好みの味に仕上げるのだ。

酒粕と味噌の合わさったこっくりした汁に、みずみずしい孟宗のシャキシャキとした新鮮な歯ごたえは、真逆の食感ながら見事に調和している。歯ごたえがいいのに柔らかく、おどろくほどクセもない。さすがだ。噛むほどにあふれる甘みは大変美味で、孟宗汁の調味料のひとつでもあると思う。孟宗汁と名前がついているが、汁物というよりむしろおかずとしてたっぷり食べるのが一般的。確かに特産の庄内米との相性もよく、いくらでも食べられてしまいそう。こんなに贅沢な採れたての孟宗を食べられるのは5月上旬から6月上旬のたった1ヶ月ほど! この時期の鶴岡では、なにはなくとも孟宗汁。これぞ旬のものだと思う。

Recipe

孟宗汁 4人分

<材料>
  • 孟宗筍 500g
    (下茹でして皮を除いた分量)
  • 厚揚げ 1枚
  • 生椎茸 4個
  • 豚肉薄切り200g
  • 酒粕  100g
  • 味噌  50g
  • ダシ汁 900cc
<作りかた>
  1. 孟宗筍、厚揚げ、生椎茸、豚肉を食べやすい大きさに切る。
  2. 鍋にダシ汁と孟宗筍を入れて火にかける。
  3. 煮立ったら豚肉、生椎茸、厚揚げの順に加えさらに煮込む。
  4. 孟宗筍が柔らかくなったら、いったん火を止め、酒粕と味噌を溶き入れる。
  5. 時々かき混ぜながら弱火で30分〜1時間コトコト煮込めば完成。
  6. できればそのまま一度冷まし、食べるときに温めなおすとよりおいしい。
生の孟宗筍が手に入らない時期は、水煮のパックや缶詰入りを使っても可。酒粕と味噌の分量はお好みで調整してみてください。

Information

滝水亭
滝水亭
山形県鶴岡市末広町5番24号 マリカ西館2F
(JR羽越本線鶴岡駅から徒歩すぐ)
TEL:0235-23-6311
営業時間:11:00〜21:00 無休

地元鶴岡産の食材や酒田港で水揚げされた魚を使った和食や郷土料理がたのしめるお店。駅からも近く、店内は広くてゆったりしているのでおすすめ。メニューは季節によって変わるので、詳細は事前にお電話にてお問い合わせください。

清 絢 清 絢(きよし あや)
郷土料理研究家、編集者。
日本各地を旅して出会った、その土地にまつわる食文化や暮らしをテーマに執筆中。

郷土料理研究・清風堂
http://shikumi.jp/seifudo

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