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独特のコシは熟成の賜物『三輪そうめん』
「麺ゆう館」でいただいた3年もののそうめんで作ったにゅうめん。コシが強くて、つるつるとのどごしも最高!
独特のコシは熟成の賜物『三輪そうめん』
【 2009/03/26 】

そうめんといえば、さっと茹でるだけでおいしく食べられて、特に夏場の冷やしそうめんは主婦には大助かりの食べ物でもある。日本人に大変なじみ深いそうめんだが、そのはじまりについては意外と知られていないのでは。そうめんの生産地は西日本を中心に各地にあるが、その中でもそうめん発祥の地といわれるのが、奈良県桜井市の三輪地方だ。上質の小麦粉がとれ、きれいな水の流れるこの地は、古くからそうめん作りに適していた。今回は、老舗「三輪そうめん山本」のそうめん資料館「麺ゆう館」にて手延べそうめん作りを学び、にゅうめんもいただいてきた。



10cmくらいだった麺が、あっというまに60cmまで延びた! 均一な長さになるよううまく力を加える。
10cmくらいだった麺が、あっというまに60cmまで延びた! 均一な長さになるよううまく力を加える。
つるつるっとのどごしのよく、冷やしそうめんにもにゅうめんにも1年を通して大活躍してくれるそうめん。このそうめんが、もともと1本の太い麺からできていることをご存知だろうか。うどんやそばなど、生地を練って包丁で細長く切り分けて作る、いわゆる「切り麺」と違い、そうめんは1本の太い麺を、2日間かけてじっくり細く細く引き延ばして作られる。延ばしてもちぎれない強くてしなやかな麺を作るためには、ゆっくり時間をかけて熟成させて、タンパク質の一種であるグルテンをしっかりしたものにする必要がある。さらにそれを細く延ばすことでグルテン繊維を同方向に整然と走らせ、あの独特のコシを作り出すそうだ。

こんなにひっぱっても切れない衝撃の延びのよさ! これがおいしいそうめんの秘訣。
こんなにひっぱっても切れない衝撃の延びのよさ! これがおいしいそうめんの秘訣。
昔ながらの手延べそうめんは、寒風吹く冬11〜3月頃に作られる。直径1mほどもありそうな大きな桶いっぱいに小麦粉と塩水をあわせてしっかり練っていく。ひとかたまりになった巨大な生地を、うずまき状に切って、まず延ばす前の太い麺(太さ7cmくらい)を作る。乾燥を防ぐため綿実油を表面に塗り、ここからはひも状に延ばしては休ませて熟成させる。熟成の時間で、麺の生地は延びる力をたくわえるのだそう。延ばし、熟成、延ばし、熟成を、そのつど麺にヨリをかけながら12回ほど繰り返し、うどんくらいの細さまで麺を延ばしていく。そこまでできたら、次は2本の棒に8の字にかけていく。この状態のまま、3〜4時間の熟成を経て、いっきに60cmほどの長さに延ばされる。1日目の作業はここまでで、その後一晩、室(むろ)という箱の中で翌日まで熟成される。

2mほどに延ばしきったそうめんは、こうして暖簾のように干されて、天日乾燥される。
2mほどに延ばしきったそうめんは、こうして暖簾のように干されて、天日乾燥される。
2日目の午前中に、室でじっくり熟成された麺を、そうめんの細さにまで引き延ばし、天日干しに。ここで冬の寒風にさらされて、きりっと引き締まったつややかなそうめんが出来上がる。夕方には乾燥したそうめんを19cmに切りそろえ、ようやく完成だ。ひと桶分の生地から、なんと50kmものそうめんができあがる! 手延べそうめんあっぱれなり。ただ、切りそろえられて束になったそうめんも、すぐに出荷されるわけではない。できあがったそうめんは、蔵の中で2年もの長期間保存され、旨味を増幅させてから、やっと出荷されるのだ。

今から1200年ほど前の奈良時代、三輪の地に鎮座する日本最古の神社のひとつ大神神社の関係者が、この三輪の地が小麦の栽培に適していると知り、そうめん作りをはじめたといわれている。そうめんが作られる冬場は、秋に米の収穫もおわり、ちょうど農閑期にあたる。そんな時期に、保存食にもなるそうめん作りをすることは農民にとってもありがたく、米の不作にも備えるため、大神神社は積極的にそうめん作りを奨励したそうだ。事実、神社の周辺にはそうめん作りを手がける老舗が残る。今回訪れた「三輪そうめん山本」も、享保2年(1717年)創業以来、その技法を守り続けている老舗だ。一般に出回るそうめんの製造工程の大部分は機械化されたそうだが、今でも「麺ゆう館」で手延べ製法の継承に尽力している。

Recipe

にゅうめん 2人分

<材料>
  • そうめん 2束
  • エビ 4匹(殻をむいて塩ゆで)
  • カマボコ 2切れ
  • ミツバ 適宜
  • ネギ・ミョウガ・ゴマなどの薬味 適宜
  • ダシ汁 3カップ
  • 薄口醤油 大さじ1
  • みりん 小さじ2
  • 塩 小さじ1/3
<作りかた>
  1. そうめんはたっぷりの熱湯で少しかために茹でて冷水にとり、よくもみ洗いしてぬめりをとり、ザルにあげて水気を切っておく。
  2. 小鍋にダシ汁を入れて火にかけ、薄口醤油、みりん、塩で調味し、エビ、カマボコを加えて一煮立ちさせる。
  3. 1のそうめんを器に盛り、エビなどの具材をのせ、2を注ぐ。お好みで薬味を添えたらできあがり。

Information

三輪そうめん山本「麺ゆう館」
三輪そうめん山本「麺ゆう館」
奈良県奈良市左京6-5-2
(JR平城山駅から徒歩10分)
TEL:0742-72-3331
開館時間:9:00〜17:00
休館日:月曜・年末年始・お盆

そうめんの作りかたを学びながら、おいしいそうめんもいただけます。そうめん手延べ体験は10〜3月のみ実施。4〜9月はそうめんを使った料理教室を開催している。どちらも予約が必要なので、詳細は事前に必ずお問い合わせください。

清 絢 清 絢(きよし あや)
郷土料理研究家、編集者。
日本各地を旅して出会った、その土地にまつわる食文化や暮らしをテーマに執筆中。

郷土料理研究・清風堂
http://shikumi.jp/seifudo

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