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「のっぺ」の中の「のっぺ」『越後のっぺ』
居酒屋「壱勢」でいただいた「のっぺ」。注文のときに「冷たいのっぺ?あたたかいのっぺ?」と聞かれました。
「のっぺ」の中の「のっぺ」『越後のっぺ』
【 2009/02/26 】

新潟出身の友人がいたら、「新潟の郷土料理といえば何?」と聞いてみてほしい。たいていが「のっぺ」と答えるだろう。のっぺは、毎日のお惣菜にも、お正月など祝儀の料理としても愛されてきた食べ物。新潟の味の代表格として、全国的にも有名だ。だが、この「のっぺ」、どうやら新潟だけの食べ物ではないらしい。調べてみると、なんと、北は北海道から、南は九州まで、「のっぺ」と名のつく食べ物は存在するではないか! じゃあ新潟の「のっぺ」の立場はどうなるの!? とミョーな不安にかられるが、心配ご無用。新潟の「のっぺ」はひと味もふた味も違ったのです。



新潟に広く伝わる「のっぺ」だが、海を隔てた佐渡にはないそうな。そのかわり、「煮しめ」がよく作られる。
新潟に広く伝わる「のっぺ」だが、海を隔てた佐渡にはないそうな。そのかわり、「煮しめ」がよく作られる。
新潟ののっぺは「越後のっぺ」と名前がつくほど、のっぺの中でもひときわ目立った存在。他の地域よりも生活に深く浸透していたり、イクラや鮭が入っていて豪華なことから、「越後のっぺ」と特別視されてきたようだ。日本各地ののっぺ(のっぺい汁、のっぺい、ぬっぺなども含む)に共通するのは、数種類の野菜を使った煮物(あるいは汁物)であることと、必ずと言っていいほど「サトイモ」を使うところ。

さて、新潟ののっぺも例にもれず、サトイモは欠かせない。サトイモのぬめりは、のっぺに自然なとろみをつけてくれるのだが、それがおいしさを左右する重要なポイントだったりする。よく入る具材は、サトイモ、コンニャク、カマボコ、ニンジン、レンコン、タケノコ、キヌサヤ、ギンナンなど。新潟市周辺では、これらの具材を拍子切りにして煮込み、イクラで彩りを添えるタイプが多い。あっさりと塩をきかせ、干しシイタケと干し貝柱のダシの旨味で全体を包み込むような、素朴だが楚々とした料理だ。

デパ地下でも発見! 五泉市特産の「帛乙女(きぬおとめ)」というサトイモはぬめりが強くのっぺ向きだそう。
デパ地下でも発見! 五泉市特産の「帛乙女(きぬおとめ)」というサトイモはぬめりが強くのっぺ向きだそう。
作るときは固いものから順番に鍋に入れていき、どの具材も煮込みすぎないように、ちょうどよいタイミングで火を止めるのがコツ。食材それぞれの食感を残すと、味だけじゃなく歯ごたえもたのしめて2倍おいしくなる。味付けのときには色にも気をつけて。味と同じく上品な薄色に仕上げるのが美しいとされているので、醤油の入れ過ぎには注意されたし。食べ方だって千差万別。「わざわざ、冷まして食べるのがオツなのだ」という意見もあれば、「あったかいほうがおいしい」という声も。同じ新潟県内でも、上越地方ではジャガイモを入れたり、北部の日本海沿岸ではスルメイカのダシを使ったり。クズを溶いてとろみを加えたり、鮭、鶏肉、ホタテなどを入れる家庭もあるそうだ。そんなおおらかさが「のっぺ」のいいところかもしれない。

こちらはスーパーのお惣菜売り場で見つけた「のっぺ」。写真を撮ってる間にも、どんどん売れていきました。
こちらはスーパーのお惣菜売り場で見つけた「のっぺ」。写真を撮ってる間にも、どんどん売れていきました。
お正月、お盆、結婚式などの冠婚葬祭、忙しい日が続くときは、手がかからないよう何日分も「のっぺ」を作り置きしておいた。人が集まればたくさんの煮物をみんなで囲み味わう。そんな習慣は新潟県一帯で共通らしく、「のっぺ」をはじめ、いろいろな煮物が作り伝わっている。具材を乱切りにして煮込む糸魚川地域の「こくしょう」、長岡市などに多い、野菜を大きめに切った煮しめ風の「お平」、県北の岩船では「大海」というダイナミックな名前のついた煮物が定番だ。そんな地域性が見えるのも郷土料理のおもしろさじゃないだろうか。

新潟に行けば、デパ地下でも居酒屋でものっぺに出合うことができる。家庭料理として全国区になれる実力のある「のっぺ」。是非新潟で本場の味を覚えて帰って、自宅でも作ってみてほしい。

Recipe

のっぺ 4人分

<材料>
  • サトイモ 5〜6個
  • ニンジン 1/2本
  • コンニャク 1/2枚
  • カマボコ 80g
  • レンコン 70g
  • タケノコ水煮 1/2個
  • 干しシイタケ 4枚
  • 干し貝柱 2個
  • ギンナン水煮 8個
  • キヌサヤ 適宜
  • イクラ 適宜
  • 干しシイタケの戻し汁と干し貝柱の戻し汁
    合わせて3カップ
  • 塩 小さじ1/3
  • 酒 大さじ1
  • 砂糖 大さじ1
  • みりん 大さじ1
  • 薄口醤油 小さじ2
<作りかた>
  1. サトイモ、ニンジン、コンニャク、カマボコ、レンコン、タケノコは、下処理をして拍子切りにしておく。
  2. 干しシイタケと干し貝柱は、それぞれ水で戻し、シイタケは細切り、貝柱は細かくほぐす。戻し汁はとっておく。
  3. 鍋に2の戻し汁を合わせて3カップ入れて火にかけ、1の具材を固いものから順に加えていく。
  4. 煮立ったら調味料を入れ、しばらく煮込む。
  5. 具材に火が通ったら、最後にギンナンを加え、味を調える。
  6. ギンナンが温まったら火を止めて、そのままゆっくり冷まして味を含ませる。
  7. 器に盛りつけたら、湯がいたキヌサヤを添え、イクラをたっぷり盛ってできあがり。

熱い冷たいはお好みでどうぞ! 鮭や鶏肉を入れるときは、煮汁が沸騰してから加えてください。

Information

壱勢
壱勢
新潟市中央区東大通り1-5-30 HOKUYU BUIL2 1F
(新潟駅万代口より徒歩1分)
TEL:025-242-1200
営業時間:平日 17:00〜2:00
営業時間:日祝 17:00〜0:00(ラストオーダーは閉店30分前)
定休日:年中無休

新潟駅からすぐのカジュアルでにぎやかな居酒屋。新潟の各種郷土料理がリーズナブルなお値段でいただけます!

清 絢 清 絢(きよし あや)
郷土料理研究家、編集者。
日本各地を旅して出会った、その土地にまつわる食文化や暮らしをテーマに執筆中。

郷土料理研究・清風堂
http://shikumi.jp/seifudo

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